もりたけしに訊け!〜説教番長の屋根裏懺悔室〜 ここは新宿ゴールデン街のとあるバー 夜毎集まるクリエイター(志す若者も含む)の悩みを、アニメ監督もりたけしが一刀両断ズバリ解決! 業界人(INSIDE)から一般人(OUTSIDE)まで、広くエンタテインメントを目指す若者の悩みにお答えします。
第4回 相談者(ゲスト)

演出 高橋正典(たかはし・まさのり)


1979年3月12日宮崎県生まれ。大阪芸術大学映像学科中退後、2003年(株)GONZOへ入社。「PEACE MAKER鐡」「砂ぼうず」 設定制作 から「BLACK CAT」 20話24話(24話は連名)演出・設定制作、「ウィッチブレイド 」14話演出 「ロミオ×ジュリエット」助監督・1話6話11話24話(1話24話は連名)演出を経て現在フリーに。

 

今月の相談

「アニメ作りにおいて、もりさんなりのポイントなどあれば、ぜひとも教えてください。」

そんなの教えないよ。なんで初見の人に秘密を教えなくちゃならないの(笑)。

……。

あ、冗談冗談(笑)。まず最初はボケですよ。

(気を取り直して)では改めて質問です。アニメ作りにおいて、もりさんなりのポイントや秘訣などがあれば教えてください。

秘訣っていうのはないけど……。
演出っていうのは教えられるものじゃないじゃないですか。なぜならば、映像の世界でやってはいけないということがないから。
例えばTUの意味とか、PANの意味とか、定義はあるけどそれをぶち壊しても効果的に見えるならその人の勝ちだからね。その人のカラーになれば良いので。
基本的にものを教えるときは、「こうしてはいけません」という前提で始めるじゃないですか。これを越えたらダメですよという枠があるから教えられるわけで。
俺も演出になったときに、誰にも何も教えられていないし。大量に映画を観るしかなかったしね。

いろんな資料をあさってみたり。

俺の師匠は芝山努さんとか小林治さんだけど、その人の仕事を盗み見るとかしかできなかったしね。当時、参考になるようなものといったら東京ムービー新社の下の1階の売店で、すっごい高い値段で売っていた『ルパン三世 カリオストロの城』の絵コンテくらいでね。ただのコピーなのに各パート1冊2千円。いや、2千円か3千円かは忘れたけど。当時の2千円て、今の5千円ぐらいの価値があると思うんだけど。それで4パート揃えたら2万円ぐらいになるという。

販売用に?

そうそう。

それだけ払う価値があるわけですからね。

日本アニメで売っていた『未来少年コナン』の青焼きのコピーも2千円くらいで買ったし。しばらく置いておいたら、退色して線が見えなくなってしまったけど(苦笑)。

はははは。

まあ、自分で学ぶしかないからこそ、秘訣も何もなくて、とにかくやるしかない。

自分がやり始めだとやりたいこともいろいろあって、ちょっと真似事とかすると失敗したりして覚えていったりするという。

試行錯誤のチャンスを与えられているうちは、それを利用した方がいいでしょう。

ありがたいことですよね。

残念ながら大抵の場合、最初から期待はされていないから。でも期待されていないときにこそ頑張らないと。自分は期待されていないからいいんだ、と思ったら伸びないよ。

そうですよね。今がチャンスと。

3、4本というところを最初から完璧にやられていたら、本当に潰しにいくよ(笑)。

はははは(爆)。

例えば、いま何本か絵コンテを手伝っているやつとかね、ほとんどが初監督の人達なのよ。

結構、自分も制作の時にやらせてもらったのは初監督の人が多かったりしますし。

ここ5年10年の間に、深夜枠の単発ものとかで大勢の監督がデビューしているけど、いま残念だと思っているのが、残っている人がほとんどいないって事。2回3回目と監督を続けている人はもうほんの一握りじゃないですか?

そうですね。

監督自体が育っていないから。育っていないところで演出はどう育つのか、という話だし。『ヴァンドレッド』やっていた時に何人か演出やってもらった人たちがいたんだけど、「何年かすればいい監督になるから、ジックリ色々伝えたい」とか思っていたら、すぐ監督にされちゃったりね。
まるで戦争末期みたいなもんですよ。

せ、戦争ですか!?

大戦末期みたいなもので、無闇に階級だけ上がっていくという。

ああ、そうですよね。ちょっとでもできる人というのは、バーンって上がっていく。

そのうち特攻作戦が始まるけど。監督ひとりが作品抱えて深夜枠に飛び込んでゆくことにね。

特攻って。絶対死んじゃうじゃないですか。

だからもう次はない。その人はそれで終わり。

うわ〜。戦争ですね、戦争。

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