もりたけしに訊け!〜説教番長の屋根裏懺悔室〜

今月の相談2発め

「キャリアのためのセルフプロデュースを考えていますか?」

自分でキャリア戦略みたいなものを考えて仕事を断ったりとか、これはキャリアになるから力を入れようとか戦略みたいなものって立ててる?

あんまり考えてないよ。優先するのは義理かな?
人とかスタジオとかクライアントに対して義理があるかどうかで決めるかな。40歳前の時は空いてたら引き受けてたけど、40歳超えたら無理がきかないし、だんだんわがままになってくるから、やりたくないものはお断りするけどね(笑)。
あとは、自分がやりたい仕事だとしても、結局現場、スタジオ、制作力によって結果って左右されるじゃない。
飛び込みできた仕事、初対面の人の仕事とかは、その人と話をしてみて、コイツやばそうだなってなったら断るもんね。調子のいいことを言って、ケツまくられて逃げられたら大変だから。
飛び込みの電話依頼で惚れたのは、サンライズの内田さんだけ。内田さんは面白い人だよ。
ただ、自分の評判ってそんなに立派なものではないから、楽しい現場になるっていう期待とか、自分を呼んでくれた知り合いがいるから喜んでやりますってかんじかなあ。

こういう作品が実は得意なんだとか、戦略的に考えたことってないの?

ないですね。自分のカラーを決められるのがイヤだったから。
そうしたら、ラブコメばかりきた(笑)。
『ヴァンドレット』とか『スカルマン』みたいなものを本当はやりたいんだけど、女の子ものが多いね。

そこでできちゃうってすごいよね。

それは亜細亜堂の訓練だと思うよ。なんでもやんなきゃいけなかったから。
その後俺より100倍わがままなアニメーターや監督に会って(笑)、俺ももっとわがままになってもいいかなって思うようになってフリーになり、暴れん坊になった時期もあったけど……。
イエス・ノーをはっきりするようになって、生意気なことも言ったけど、今は生意気をよしとしてくれる人達がまだ何人か残ってる。
結局義理なんだよね。義理を大事にすれば人との繋がりって耐えないと思うから、その繋がりを大事にしてるよ。

俺はそこがないんだよね。義理人情みたいな。

おれ八犬士でいうと犬村荘助だよね。「義」の玉を持つ(笑)。誰かに借りをつくったら、ものすごく気にするし、返さなきゃって思うよ。

性格的なものって結構でかいですよね。切り替える話も含めて。

うちの親父が自分にとってとても反面教師だったから。親父はプロ野球選手だった一方で、家庭はしっかりしてないんだよね。

うちの親父はすごくしっかりしてたからか(笑)。

親父がしっかりしてないから、俺はしっかりしなきゃって思ったね。
あと、しっかりしてたお袋が俺が30歳くらいの頃亡くなって、余計しっかりしなきゃって思ったし。
お袋がまた卑怯な遺言を残してさ。「うちの家族はぐちゃぐちゃだから、今までは私がまとめてきたけど、これからはお前がやれ」って俺を指名したのよ。うち家族みんなB型だから、もうまとまりがないんだよね。
それで、半年仕事を休んで、保険のこととか、家のこととかやってたわけだけど、弟も妹も父親も、お袋が亡くなって悲しい気持ちは一緒じゃない。でも悲しいから逆切れするんだよね。この荷物どうするんだって時に、話をしなきゃいけないんだけど、喧嘩になるんだよ。そういう時に、今は話しをしなきゃいけないと、今まではお袋がまとめてくれたけど、これからは俺たちだけでやらなきゃいけないわけだからさって、やることができたわけよ。それができるようになったら、スタッフの相手なんてなんでもなくなった(笑)。

思うに、もりさんラクビー部だったからっていうのもあるんじゃないかなと。体育会系ってこの業界にあまりいないじゃないですか。それもあるんじゃないかな。

体育会系っていうと上下関係かな。うまうまにタメ口で話しているのは、GONZOの仲間だから。当時のGONZOのみんなに関しては、上下関係作っちゃいけないと思った。
俺は、結構人の顔色を見るほうでね。ガキの頃、家によくお客さんが来てたから、人の顔色みるようになった。それが今は飲みの場でもってことで。気配りじゃなくて、悲しい子なのよ(笑)。人がつまらなそうな顔をしていると、すごくいやな気持ちになる。楽しませなきゃって。うまうまはきちんと気を遣ってくれる人だよね。

気遣いだけど、もっと屈折した気遣いだよ。

遣うことにはかわらないじゃん。

疲れきっちゃうとかあるよ。

俺も疲れる。酒飲んでバーっとなった翌日、シラフになって、俺何やってんだろうって、すごくダウナーになる時あるよ。
あとは、悪いことをしたら、忘れないうちにあやまる。酔っ払って次の日に「昨日は羽目をはずしすぎてごめんなさい」とかメール送るようにはしているよ。
毎回送ってるってことは、全然進歩がないってことだな(笑)。
ありがとうとごめんなさいをきちんと言うって、自分がホームステイした時に学んだかな。アメリカ人でそういうのしっかり言うじゃない。日本人は、言わなくても推して知るべし、ってあるじゃん。それは違うなと思って、ありがとう、ごめんなさいは意図的にいうようになったよ。
ホームステイとか、小さい頃親父がらみで色々といい経験させてもらったから、それで俺の個性っていうものができて、個性的な演出ができるかなって思うのはある。
セルフプロデュースじゃないし、自信まではいかないけど、それを自分の「売り」って感じているかな。
お袋が死んだ翌日がギャグアニメのアフレコだったの。その朝までにシナリオを出さなきゃいけなくて、お袋がもうやばいって時にもギャグを考えてた。
それをやったことはやっぱり強みになってるかな。俺仕事徹したわって。
非情なやつって自己嫌悪にもなったけど、それをやったから、大概のことには流されないって自分に刷り込まれている。

そのへんの若い頃の経験が自信になって……。

自信でもあるし、同時にトラウマでもあるよね。同じことを繰り返したくない、もう二度と同じ思いをしたくないって。

そうなんだ。

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