第2回 特撮とは何か?(2)
〜特撮映画について〜

【 解説 】

映画やテレビの特撮美術の仕事に誇りを抱きながら、あくまでも本業は純粋芸術を志向する彫刻家であるというスタンスを成田は貫いた。だが、食扶持仕事とは割り切れないほど商業作品の世界に深く足を踏み入れた結果、彼は、彫刻と特撮、芸術家とデザイナーの狭間で激しく葛藤し、自分は一体何者なのかと煩悶した。ある時期、円谷プロの一部の人間が、シリーズ最大の功労者の一人である成田の存在をないがしろにし、「(ウルトラマンは)みんなで考えて絵描きに描かせた」と公言したことに激昂し、ヒーローや怪獣のデザインも「芸術家が描いたんだから芸術作品です」と感情を露わにしたこともあった。しかし晩年、筆者がその思いを確認した際には、「ウルトラマンはあくまでも発注を受けて造形したデザインです」と答えている。芸術とは何かという問いには百人百様の答えがあるだろうが、成田は、特撮美術やキャラクター・デザインを意匠としては自分の作品であっても、自らの感動を元に発動する作品とは明確に分けて考えた。自著「特撮美術」の中で、彼は世界観を整理している。それによれば、「文化」は2つの三角錐を組み合わせた七面体。接合面の三角形が、幸福や繁栄を考える<用>の世界であり、すべての中心だ。そこから上下6方向へ伸びるそれぞれの面が、芸術=<真>、宗教=<善>、学問=<美>、科学=<新>、経済=<益>、応用芸術=<創>。フランスの彫刻家アントワーヌ・ブールデル(1851〜1929)が提唱した“形を構造的に捉える”という概念を信奉した成田は、自分の立ち位置を確認するかのように、世界の成り立ちまでも構造化して捉えたのだ。そして彼は、生活の糧とした世界を<創>であるとし、「これらは芸術と一言で分類されるべきではなく、美の面の純粋芸術に対して応用芸術、あるいは芸術的作業として分類すべき」と述べ、デザイナーは「芸術的職業の人」と厳しく律している。

(清水 節)

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