第6回 トラック野郎のミニチュアー

【 解説 】

ミニチュアの車は、その縮尺とフィルムの回転速度との相関関係によって重量感が決まり、リアリティが得られることを、成田は経験値から解き明かしている。『トラック野郎』シリーズとは、1970年代後半の夏休みと正月に公開され、計10本製作された東映のドル箱アクション・コメディである。主演は菅原文太、監督は全て鈴木則文。成田はそのうち4本を手掛けたとしているが、資料によれば、第3作『〜望郷一番星』(1976) 、第4作『〜天下御免』(同) 、第5作『〜度胸一番星』(1977) 、第6作『〜男一匹桃次郎』(同) 、第7作『〜突撃一番星』(1978) 、第9作『〜熱風5000キロ』(1979)の計6本の特撮美術を担当している。実際のカーアクションが売り物のシリーズではあったが、主人公・桃次郎の妄想シーンなどのコメディリリーフや爆走サスペンスを盛り上げるところで、特撮が使われた。桃次郎の愛車は、いわゆる“デコトラ(デコレーショントラック)”の「一番星号」。本シリーズをきっかけに、電飾やペイントで派手に飾り立てたデコトラ・ブームが巻き起こった。デコトラを登録商標した青島文化教材社は1/32のアートトラックを発売し、版権を獲得したバンダイは1/48スケールや1/20スケールのプラモデルを発売して大ヒットとなった。さて、車の話題のついでに、最後のくだりで「ポインター」が登場。「〜ランボルギーニ・カウンタックを見て、ポインターを作るにしてもこの位の車を改造したいなあとよだれを流しました」と感慨深く語っている。自著「特撮美術」(フィルムアート社)の中で成田は、改造車であったポインターの原型車を「フォード」と記している。マニアの間では周知の事実だが、ポインターのベース車輌は、正しくは「クライスラー・インペリアルクラウン1957年型」だったようだ。それにしても、「ランボルギーニ・カウンタック」を存分に改造した成田メカニックも見てみたかった。

(清水 節)

閉じる