『ビジュアル・フューチャリスト シド・ミード その創造と秘密』

『ブレードランナー』Blade Runner

公開:
1982年公開
制作:
アメリカ/香港
監督:
リドリー・スコット Ridley Scott
主演:
ハリソン・フォード Harrison Ford
ルトガー・ハウアー Rutger Hauer
ショーン・ヤング Sean Young
原作:
フィリップ・K・ディック Philip K. Dick
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(Do Androids Dream of Electric Sheep?)』(ハヤカワSF文庫)1968年

SF映画の金字塔として、キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』と並び称される傑作。それまでのSF映画の常識的未来観を覆し、無国籍風で退廃的というダークな近未来を描き出すことで世界中の観客に衝撃を与えた作品である。その評価は年月の経過とともに高まり、現在ではほとんど世界中すべての映像クリエイターたちに直接・間接の影響を与えたと言われている。

時は2019年。近未来のロスアンゼルスは、ハイテクと酸性雨に彩られた憂鬱な無国籍街となっていた。すでに宇宙開拓を開始していた人類は、外宇宙での危険な作業に従事する人造人間=レプリカントを創りだし、外宇宙での労働に従事させていた。人類以上の身体能力を持つ超人類、そんなレプリカントの中の一部が宇宙で反乱を起こし、地球に潜入してきた。そうした危険なレプリカントを狩るのが、特別捜査官=ブレードランナーだ。かつて凄腕のブレードランナーとしてならした男デッカード(ハリソン・フォード)は、以前の上司から強引な依頼で、再びレプリカントを追うことになるのだが……。

この映画は、サイバーパンクSFの傑作として名高い原作を優れたSFサスペンスに翻案した稀有な成功例として知られている。またスピナーなど卓越したデザインの登場メカや、暗く混沌とした街の描写など、そのビジュアルは高く評価され、米アカデミー賞で美術監督・装置賞と視覚効果賞、 LA批評家協会撮影賞、英国アカデミーで作曲賞、撮影賞、プロダクションデザイン賞、衣装デザイン賞を受賞している。
監督のリドリー・スコットは『エイリアン』『ブラック・レイン』『ハンニバル』などでも知られる名匠で、その映像センスは初期の『デュエリスト/決闘者』以来、高い評価を得ている。
当初はカーデザイナーとして参加したシド・ミードだが、彼の提出したイメージボードの完成度に監督のリドリーは驚嘆し、作品に登場するすべてのビジュアル設定の依頼を決める。劇中に登場するレプリカント判定機=ヴォイト・カンプ・マシンをはじめとして、電話機から室内装飾、街を走る自転車まで、ありとあらゆるものがミードの手でデザインされ、未来世界としてのリアリティを大きく高めることに成功している。
この作品で、シド・ミードは一躍SF界のカリスマとなり、多くの追随者を生むことになった。