街の商業施設に見出す
ときめきのカップリング
イラスト/こじま あや
先日のことです。ライターの八雲あゆさんが日記でこんなネタを振ってきました。
「伊○丹と秋葉原って、カップリングするならどんな感じかなぁ?」
ああっ、それは! 禁断の擬人化!
すぐさま私の脳内で何かが走り出しました。
「街+デパートという設定でいきましょう。新宿伊○丹=兄、秋葉原デパート=弟 という兄弟カップリングで!」
新宿伊○丹兄はイケメンで仕事もできて人当たりも良くて人気者。
パソコンマニアで仲間以外とうち解けられない弟の秋葉原デパートは、 兄をまぶしく近づきがたい存在と感じている。
けれど新宿伊○丹兄は孤独だった。
社内で一人だけ飛び抜けて優秀な彼に、心を許す同僚はいない。
兄は寂しくなると、こっそり弟のところに遊びに行くのが日課だった。
時が止まったような空間が心地いい……。
幼い頃は一緒に遊んでいたふたり。
けれど青年になり、 伊○丹兄に女の子が群がるようになると、秋葉原はとたんに距離を置き始めたのだった。
弟は今日も自分とは話をしてくれないだろう。
このチェックのネクタイを外せば、受け入れてくれるのだろうか――?
ちなみにチェックのネクタイというのは、伊○丹の紙袋の柄から来ています。
と、そこに男性陣も加わってきました。
「“アキデパ”の最期を考えると、悲劇的且つ発展的な結末(イデオン劇場版のような)になるんでしょうか?」
なんと、新しい設定の追加です。
伊○丹兄は秋葉弟がうらやましい。 数は少なくても本当の友達がいるから。
弟は、自分に優しく接してしてくれる兄に、どうして自分なんかに優しくしてくれるんだろうと、兄の顔を見るのが辛くなって、とうとう秋葉原を出ていってしまった……。
秋葉原デパートがなくなってしまったのは、お兄さんの顔を見るのが辛いからだったんですね! 知らなかったよ〜。
すると、
「秋葉弟の数少ない本当の友達って、 中野ブロードウ○イとかでしょうか?」
という男子からのコメントが。あはは。“オタク聖地”繋がりですね。中野ブロードウ○イくんはサブカルオタクという設定になりました。
そして、「新宿伊○丹兄を狙っているチャラ男が六本木ヒ○ズ。六本木ヒ○ズと中野ブロードウ○イは昔デキていたが、中野から別れを
切り出して関係を解消。ヒ○ズは中野から、伊○丹兄には溺愛する弟がいると聞かされたことで、秋葉弟に猛烈に嫉妬するように」という設定が作られました。(それを陰から見てほくそ笑んでいた池袋乙女ちゃんの話もあるけど割愛)。
街の商業施設に、こんなにも萌えるとは思いませんでした……!
キャラクター単体の属性に萌えるか
物同士の関係性に萌えるか
……失礼しました。かように擬人化は妄想の宝庫なのですね。
擬人化は、オタク界に伝わる「人間ではないものからキャラクターを見出す」遊びです。
ネットや同人誌など各所で見られるほか、『擬人化たん白書』(アスペクト)などの書籍も発行されています。『擬人化たん』の本を開くと、鉄道、人工衛星、ハードウェア、元素まで、全てが美少女キャラのビジュアルに変換されていました。すげー。人は何にでも萌えられるんだね……。
オタク趣味を持つ人は「キャラ化」が上手だなーと思うのですが、これも日頃からキャラクターに慣れ親しんでいるからなんでしょうね。
男子が「キャラ単体」のディテールを膨らまして萌えることが多いのだとすると、女子の場合はどちらかというと「キャラ同士の関係性」にウエイトが置かれている気がします。
昔、某巨大掲示板で「鍋とフライパン、どっちが受けか」スレを見たことがありますが、鍋受けもフライパン受けも、どちらにも理があって、意見は見事に1:1に分かれました。
私のキャラ設定では、すぐに熱くなるフライパンが“熱血やんちゃ少年”、ゆっくり煮える鍋は“穏やか知性派兄さん”で、カップリングとしては「鍋(ヘタレ攻)×フライパン(やんちゃ受)」なのですが。解釈は100人100通りですから、それは結論出ないですよね。
私が思う究極のカップリングは
まな板と包丁!
無機物の擬人化には、大きく2つの流れがあると思います。
●機能・役割などの特徴から、見た目と性格を想像する
例えば図書館だったら、メガネをかけた内気な黒髪の少年(少女)とか。図書館の持つ、静かでお堅いイメージが、アニメや漫画でよく見るキャラクターの属性とリンクするんですね。
もうひとつは、
●元から自分が持っている願望を投影する
よく「腐女子は何でもキャラ化してカップリングにすることができる」と言われます。自分が日頃から思っている“理想の性格”や、“理想の人間関係”を、物に投影させているのですね。
私の場合、兄弟関係に萌える習性があるので、デパートでも何でも、物が二つあれば、すぐに兄弟にしてしまうんですよね……。
カップリング作りの醍醐味は、二つの物それぞれの機能や役割を、「立場の違いによる力関係(=攻めと受け)」に見立てるところにあると思います。
例えば同じ路線をライバルのように走る山手線と京浜東北線……ここからも攻めと受けの関係は生まれます。企業の統廃合なども、上下関係がはっきり出るので、BL的な物語が作りやすいのではないでしょうか。
私が思う究極のカップリングは「まな板と包丁」です。
自分が傷ついても、懸命に包丁を受けとめるまな板。自分の存在がまな板を傷つけてしまうと知り、心が傷ついてしまう包丁。それでもふたりは己の成すべき役目を果たさなければならないのだった……。
互いに触れ合うほど傷つけ合ってしまう包丁とまな板! 彼らの運命は悲劇的過ぎると思いませんか!? 想像したらなんだか泣けてきました……。
自分の妄想にもらい泣きできるようになったら、腐女子として一人前な気がします。
(2008/03/21)