その六 ワンフェスへ行く! 再び
夏だ! イベント、ワンフェスだ!
「あちいよ、あちいよ」近藤絵師がさきほどから呪文のように繰り返す。
参画している『大江戸ロケット』も佳境、ボタボタと汗を流しながらの夏だ。
「でも原稿描く時にはクーラー全開」
これがわしらの合言葉(笑)。
みなさん、夏のイベントはいかがでしたか? コミケにはドクトルFも近藤絵師も参上。サムシング吉松ブースにて「トルネちゃんバッジ」を配ったのだった。
そして、もうひとつの夏の祭典とえいば、ワンフェス!
この連載1回めに続き、この夏もワンフェス! だって好きなんだもん。造形物を愛でている時、なんだか脳内に不思議な汁が出ていそうなくらい(笑)。
何しろ夏はイベントが多くて多くて。トランスフォーマーを観たり、大きな寝ガンダムを見に行ったりしないとねえ。
そんなわけで、今回のワンフェス。
広いですよ。歩きやすいですよ。聞けば、前回よりも更に参加ブースは多くなったとのこと。
いつもと同じように、ドクトルFと近藤絵師はだらりだらりと歩いていく。
するってえと、お知り合いの顔が!
イラストレーターのたけださなえさんじゃないですか。
ポエールという可愛いキャラクターを描いている。ポエールには仲間たちがいて、それぞれの個性があって「あ、ぼくそっくり」とか「私みたい」となるんです……と、マネージャーのゼクシズ藤森さんが教えてくれるのだった。
「例えば、モグは……」
あ、オレそっくり。
「プリンちゃんは……」
あ、それ、オレオレ。
なんというオレオレ会話。
それでも、いろんなタイプがあるので、似ているなあというキャラはいるはず。可愛いしねえ。
それでもどのタイプでもない! というひとには、サンガッツ本舗の怪獣ソフビなんてのはどうだろう。ポエールの横には「ぶひぶひ怪獣 ケラプス」のピンク・バージョンが置いてある。ツメと鼻が魅力的。口から覗いた舌が胴体部分からのパーツとなっていて、首を廻すと口から覗いた舌がいい感じに表情が出ているのだ。なかなか良く出来ているよなあ。
そこを通りかかるは、マット・アルト!
アメリカはボストンに住んでいたマットだったが、日本人の美人妻をめとり、今は日本で翻訳の会社を興している。幼少の頃から日本のアニメ好き。特に超合金の玩具が好きで、なんと本も執筆しているナイスガイジン、いやナイスオタクだ。あんまりたくさん買うと、奥さんに怒られちゃうぞ。
「ボクのオトモダチのブースに行きますか?」
マットに連れて行ってもらったのは、ILANENAなんとなくスペイン語風、なんとなく昔「STAR WARS」のフィギュアを出していたケナー風のロゴ。この怪しい言語って、日本語にすると……。
イラネナ ホシナ。
いらねーな 欲しーな、だよねえ。面白いし、実際にありそう。
ここでは昔出ていたパチモン怪獣トランプを元に、まさかの完全立体化! しかも蓄光バージョン! しかも、絵に描いてあるのは、水の中から頭だけ出している怪獣など、見えない部分も実は多い。しかそ、そこは想像! 直カンとイマジネイション! 造りモノの楽しさは、このそれぞれの解釈やセンスにもあるんだよなあ。
やはり怪獣はいい。怪獣といえば、プロレスラーの獣神サンダー・ライガー選手の所属する「グリプト」!なんたって、獣の神だしな。
新作は、初代ゴジラ検討用粘土原型! また、シブイところを狙っているなあ。まだまだ未完成だが、その大きさはデカイのひとこと。日本の住宅事情を考えていないのか、スケールの大きいのが好きなのか。本当にデカイのが好きなんだろうなあ。
ワンフェス場内を歩いていると、お買い物を愉しむ友人多数。
漫画家の加藤礼次朗氏に、ミステリ作家の大倉崇裕氏。
何? 大倉氏は、スタジオ猿分室仮設所(前回はありがとうございました!)の手伝いに来ている? 大倉氏、次回はぜひ、怪獣ミステリを書いてもらいたい。ナゾはすべて解けた、凶器はこの怪獣ソフビのツノです、とか(笑)。
恐るべし! 地獄塗装!
そろそろ企業ブースでも見て、カレーでも食べて帰ろうと近藤絵師と話す。
イベントスペースからは、とても賑やかな声が。そんな企業ブースのKERBEROS-SAGA.JPでは、20周年となった「ケルベロス・サーガ」を出展。その1コーナーには、造形作家の小澤勝三氏を偲ぶ「さよなら、ヒゲさん」があった。トルネードベースに掲載された藤木義勝氏によるエッセイ(第7回「ヒゲとサングラス」)が追悼文として掲げられていた。嗚呼「赤い眼鏡」からもう20年。大森の街を歩いて、わ、「赤い眼鏡」の街だと思ったのも、もうずいぶん前のことになるんだな。小澤さん、ご冥福をお祈りします。
その後、カレーも食べて、撤収撤収、Tシャツとか無駄に買ったしな、と歩いていると
近藤絵師と私を呼ぶ声。
「昼間、品田さんが居眠りしているブース見た? ちょっとした衝撃受けるのが展示されてたよ」という造形師の小出くん。
急いで向かうと、そこには手裏剣ダイエットの品田さん。またやせたみたいですよ。ヤマベさんに言うと、
「最近はなんかいろいろ悩みがあるみたいですよ」とのこと。
なんなんスか?
「ちょっとね
」
と後ろ手で手を組む品田冬樹氏。シナをつくる品田さんである。
あ、恋ですね!
「近い!」などと、お相手してもらうドクトルFだった。
その時、既に時刻は午後5時。
「今日は、ここのブースのお手伝いなんだよ。米田さんという同業の友達がソフビ怪獣を趣味で塗装した物をまとめて展示したんだけど、それがまたスゴくて……」
既に店仕舞いしているところを、わざわざ箱から出してくれる品田氏。
その名も地獄塗装アート!
すっげえ! ぶっとんでしまいましたよ。
ああ、誰か私に、表現できないくらいの吃驚感嘆詞をください!
元の怪獣を知っていても、瞬時には何なのかわからないくらい。
これはもう別の生き物、別の怪獣ですよ!
そこに米田さん登場。地獄塗装怪獣ソフビについて説明をしてくれた。
既存の怪獣ソフビに好き勝手に色を塗ったように見えるけれど、細かいンだ。表面のテカテカも、クリアを何度も吹いているらしく、手間も時間もかなりかかりそう。
地獄塗装については、上記サイトでもわかるけれど、実物の持つ迫力たるや……言葉に出来ませんよ。
なんていうのかな? そう、暗黒力が出まくりですよ。
それにしても最後に凄まじいものを見ちゃったなー。夢に見そう……。
まさに真夏の夜の夢な「ワンフェス」でした。
では、みなさん冬に再び!
(2007/08/21)