まずは、僕がゼペットに出会った日のことを話そうと思う。
え? ゼペットなら知ってる? ヒゲを生やしたお爺さんの家具職人のことだろうって? あー。それは、僕を作ったゼペット爺さんだ。ちょっと昔の話すぎる。僕が今からみんなに話そうと思ってるのは、もっともっと新しい出来事。17歳の女の子のゼペットの話さ。
彼女に出会うまで、僕はずっと、真っ暗闇の中にいた。眠ってたんだ。普通の眠りじゃないぜ。何年も何年も続く眠りの中に僕はいた。僕を作ったゼペット爺さんが死んでから、ずっと、僕は眠り続けていた。爺さんの工房の真ん中で。イスに腰掛けた格好のまま。うなだれて、目を閉じて、夢も見ず。そうやって、僕は眠り続けてた。好きで眠っていたわけじゃない。どうしたわけだか、爺さんが死んですぐに、僕の体はだんだんと動きが鈍くなり始めたんだ。そのうち頭もボーっとしてきて、やがて完全に、体も頭も動かなくなってしまった。爺さんの仲間や、町の人や、僕の学校の友達が心配して集まって、一生懸命に僕を動かそうとしてくれたっけな。油の風呂で僕の体を温めたり、まぶたにロウを塗って磨きなおしたり、新しいネジで、手足を締めなおしたりしてくれんだ。お医者さんまで呼んで、僕の体を調べさせた。でもお医者さんは、
「なんだこりゃ。ワシは病人が出たと言うからわざわざ来たんだ、人形なんか診察できるか。馬鹿にしとる」
 
 
  
 
 
 
 
 
 
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