と、怒って帰っていった。当たり前と言えば当たり前だ。僕は、ただの薪ざっぽうを削って組み合わせただけの、ただの木の人形なんだもの。それまで動いていたこと自体、へんてこで不思議な出来事だったんだ。
きっと、爺さんゼペットの、子供を欲しがる気持ちが、僕を動かしていたのかもしれない。だから、爺さんゼペットが死んだと同時に、僕の役目も終わったんだろう。
そして、僕は眠り続けた。目覚めようと思っても目覚められなかったし、そもそも目覚めようという気も起きなかった。なに、眠り続けるのもいいもんだ。起きてるかぎり、いろんなことを心配しなくちゃいけないし、悲しい思いもしなくちゃいけない。おなかも減るしね。でも、眠ってしまえば、そういう面倒なことから、開放されるだろ。何も考えないほど楽なことはないさ。もともと僕は怠けるのが好きなんだ。好都合。こうなったら、ずっと眠り続けよう。そう決めて、僕はただひたすら、真っ暗闇の中で、眠り続けた。いつか、僕の体が、朽ち果てて粉々になってしまえばいいな。暗闇の中の、かすかな意識の中で、時々そう思ったりしながら。
なにしろ眠っていたから、何年たったかは正確にはかぞえていない。眠りに眠ったある日のことさ。僕は、意識がぼんやりと戻ってきているのを感じたんだ。体はまだ動かなかった。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL