僕は鼻を押さえて転げまわった。我慢できずに、目を開いて、鼻がどうなってるか見ようとした。けれど、あんまり久しぶりに目を開いたもんだから、まぶしくってなんにも見えない。僕もあわてたけど、女の子もあわてた。
「大変! 手当てをしなくちゃ!」
「触るな! こっちに来るな!」
言い終わらないうちに、僕は、その声の主に抱きかかえられてしまった。
「あ」
どういうことだろう。彼女の手に抱えられた瞬間、僕は突然、抵抗する気がなくなってしまったんだ。体の真ん中の、手が届かないところがむずがゆい。なんだろう、この気分は? 奇妙すぎるぞ。何なんだ。せめて僕は精一杯、手足をつっぱらかせた。
「ごめんなさい。でも、はやく、折れたところをくっつけないと」
「お前は誰だ」
「ゼペットよ、ピノキオ。私の名は、ゼペットなの」
ゼペットだって? 僕が目覚めて三番目にしたことは、彼女の顔をまじまじと見ることだった。まぶしくって全然見えなかったけれど。
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