僕の鼻は全然くっつける必要はなかった。折れ残った部分が、もとの鼻と、ちょうど同じくらいの高さだった。だから、折れてぎざぎざになっているところにヤスリをかけて、ニスを塗るだけで、僕の鼻は元通りになった。
全部、その、ゼペットという名の女の子がやってくれた。僕は、鼻を修理してもらっている間も、ずっと手足をつっぱらかせて、このむずがゆい変な気持ちと戦った。すっかり鼻を修理し終わると、彼女は、僕を改めてイスに座らせた。やっと僕はむずがゆい気持ちから開放されて、リラックスした。鼻にぬったニスがひんやりする。
僕の目は明るさに慣れてきて、随分見えるようになってきていた。まぶしいと思ったランプは、実際はそんなに明るくなくて、むしろ薄暗かった。窓が閉められているんだ。ずいぶん古びているけれど、確かにここは、ゼペット爺さんの工房だ。でも、爺さんはもういない。僕が眠る前に死んじゃったからね。じゃあ、この、僕の目の前に立ってる女の子は、誰なんだ? 見たこともない女の子なのに、確かにさっき、ゼペットと名乗った。……おっと忘れるところだった。良い子は、お礼をしっかり言わなくっちゃ。
「こんにちは、ゼペット。鼻をなおしてくれてありがとう」
 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL