ゼペットは、さらに難しい言葉を並べた。ちょっと聞くと弱々しい声だけど、その中に嬉しそうな調子がある。こういう喋り方の女の子なんだ。
「そうとなったら。ピノキオ、ついてきて」
「えっ。どこへ」
「外よ。私の店に行くのよ」
言いながら、彼女は、床においてあったコートをつかんで、バサリ、と羽織った。これもまた、つやつやで、灰色の、見たことのない皮で作られている。フードをかぶってボタンを閉じると、彼女の金色の髪は見えなくなった。へんなの。そんなコートを着ない方が、ずっと素敵なのに。でも、僕は、少しくらい何かを着ないと、素敵でもなんでもない野蛮人だ。
「ちょっと待って。僕は裸なんだよ。外へ行くなら、僕も服を着なくっちゃ」
「服なら、たっぷり着させてあげるわよ。これから行く私の店でね」
「店って、洋服屋さんなの?」
「まあ、そんなとこ。さあ、行くわよ」
 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL