ゼペットの目の前が真っ白になって、しりもちをついて、……そうしたら、僕はこの高さから放り出されるに違いない!
「おろして! 僕をおろして!」
だけどゼペットは、僕をおろさず、逆にぎゅっと抱きしめた。走りながら、つやつやのコートの裾をばさりと、こうもりみたいにひるがえした。四角い「鳥」たちが、火花を放つのが見えた。うわあ、来た! 火花が浴びせられる瞬間、ゼペットはしゃがみこんだ。広げたコートの裾に、自分と僕とを、一緒に包みこむ。包みこまれたコートの中は、真っ暗で、音がくもってて、火花のバリバリという音が、遠くで鳴ってるみたいに聞こえた。
「あれ? さっき火花を浴びた時は、目の前が真っ白になったのに、なんともないぞ」
「はあ、はあ。このコートは、“旧世界ゴム”でできているの。2回までは、ロボットたちの電撃を防ぐことができるわ」
ゼペットが息を切らしながら言った。コートの中で、ゼペットと僕の顔はくっつきそうになっていた。ゼペットの声は、こうして間近で聞いても、やっぱり弱々しく震えているみたいに聞こえる。でも、その震えてるところが、とてもいい感じだ。もう一度、火花のバリバリという音が、さっきより大きく響いた。僕らを包んでいるコートがビリビリと揺れて、火花の明るさがほんのりと透けて見えた。
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