「ここまでじゃ。前方に、でっかい、昔の飛行機だかなんだかのぶっ壊れたやつが見えるな? あそこを通り過ぎる瞬間に、お前らふたりは飛び降りて隠れろ。あいつらは、すでにお前らではなくワシをロックオンしておるから、時間さえたてば、お前らのことは忘れるはずじゃ。あとでゆっくり歩いて帰るんじゃ!」
「でも!」
「迷っとる時間はない! いいか、もうすぐじゃ! 数えるぞ! 5、4、3、2、1……今じゃ!」
「おいで! ピノキオ!」
ゼペットが、僕の手を引いて、親方の車から飛び降りた。
僕とゼペットは、泥の地面に、ごろごろと転がった。親方が、とてもいいタイミングでスピードを緩めてくれたので、二人とも、硬そうな瓦礫にはぶつからなかった。真っ赤に錆びた、大きな自動車みたいなものの陰まで転がった。親方がさっき飛行機って言ったのは、これのことだろう。おかげで、僕らが飛び降りるところは、ヘンテコ鳥たちには、見えていないはずだった。
「ピノキオ! 早く! この飛行機の中に隠れるのよ」
そう言って僕を助け起こすゼペットは、とうとう、泣いてしまっていた。青い目から、びっくりするくらいの涙を流していた。女の子なのに、鼻水もたらしていた。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL