「あなたの体型に合うコートが、あればいいんだけど。こっちに来て」
僕はゼペットについて、奥の部屋に入った。アントニオーニ親方もついてきた。
思った通り、そこは、工房になっていた。すみずみまで、整理整頓されていた。コートを作るための道具類は、それぞれの大きさに合わせた棚にキチンと収められていた。コートの材料になる“なんとかゴム”っていう黒い皮みたいなのも、種類別に巻いて並べて立てかけてある。床もしっかり掃除されていて、きれっぱしが落ちていたりはしない。作りかけのコートや、出来上がったコートが、ハンガーにたくさんつるしてある。
「旧世界ゴムっていうのは、一番、眠り電気から身を守ってくれる。そのかわりに、モロくてな。なかなか加工が難しいんじゃ。それを、ここまで仕上げるのはまさに至難。ゼペットほど腕のいいコート職人のいる村は、他にはないぞ。よその村から買いにくる者もおるくらいなんじゃ。なあ、ゼペット」
アントニオーニ親方は自慢げだったけれど、ゼペットは、あんまり嬉しそうじゃなかった。
「ええ。そうね。でもそれは、親方が、いい工具を作ってくれていたからよ」
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