「生き残ったのは、私たちだけ?」
ゼペットが、声を震わせた。
「なんてこった。アリドーロ、お前はどうやって生き残ったんだ」
「うん……それが、あのう」
クリケット・ジョーににらみつけられて、アリドーロは、大きな体を縮こめた。
「すみません、隊長。オレは……隊長たちを呼びにきたとたんに奴らがゼペットの店を踏み潰すのに出くわして、それで」
「それで、どうした」
「それで、オレは、恐ろしくて。壊れた家の影に隠れて、寝たふりをしていたんです」
「寝たふりだと?」
「すみません。オレは自警団なのに。すみません」
アリドーロは、泣き出しそうになりながら、謝った。でも、クリケット・ジョーは怒り出したりはしなかった。
「謝るな、アリドーロ。俺こそ、隊長のくせに、情けなく気を失っていたんだ。俺たち自警団は、そろって役立たずのど阿呆だったってことさ」

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL