ガラガラの鼻声で笑う親方に、ゼペットが歩み寄った。
「ごめんね、親方。せっかくピノキオを連れてきたのに。電子頭脳を分析できなかったね」
「設備のあるワシの家もバラバラになったからな。しかし、どうせ分析しても無駄じゃったろう。ワシはこ奴みたいにはなれんわい。がはははは」
「元気でね、親方」
ゼペットが、声を震わせて、親方の太鼓みたいなお腹を抱きしめた。
「親方の馬鹿! 親方なんか嫌いだよ!」
僕は思ってもないことを叫んじゃった。しまった、と思ったけど、もう遅かった。
「いてててて」
僕の鼻が伸びて、自動車の座席の中でつっかえた。

 

こうして、僕らは、親方を村に残して、旅に出ることになったんだ。
太陽が空の天辺に昇る頃、アントニオーニ親方に手を振って、僕らは出発した。

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL