風が吹いていた。
自動車の運転席に、キコキコとペダルを漕ぐアリドーロ。
助手席に、足をはみ出させてふんぞり返ったクリケット・ジョー。
荷台の上の高くなっているところに、周囲を見張りながらフォックス中尉とキャット少尉。
そして、後ろの席に、ゼペットと、鼻をなおしてもらったばかりの僕が座った。
遠ざかる村の出口で、アントニオーニ親方が、ずっとこっちを見ていた。
ゼペットは、宝物のスケッチブックを胸に抱きしめていた。
出発間際に、アントニオーニ親方が、
「忘れちゃいかんぞい」
と、ゼペットに渡してくれたんだ。
クリケット・ジョーは、何も文句を言わなかった。
風に、髪とコートをはためかせるゼペットを、僕は見ていた。
ゼペットは、強く、強く、スケッチブックを抱きしめていた。
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