僕をつかんでいた指が、僕を放り出して、引っこんだボタンを押さえようとした。アントニオーニ親方のときもそうだった。機能停止ボタンは、引っこんだあと、もとに戻って初めてちゃんと押したことになるんだ。
だけど、僕をはなしたことが、ブルチネルラの命取りになった。ボタンから僕の鼻がはなれ、ボタンは、カチン、と元に戻ってしまった。僕は砂の上に落っこちた。僕の鼻は、うまい具合に、折れなかった。
「駄目だ、間に合わない」
と、ブルチネルラのお腹が言い、
「終わりだ」
と、ブルチネルラの足が言った。
とたんに、ブルチネルラの胸から上が、ゴロン、と地面に落ちて、点滅していた目の電球が消えて、動かなくなった。
残ったブルチネルラの胸から下が、ガチャン、と音をたてて胴体と足の部分にわかれた。
胴体の部分は、背中からタイヤを出して、ガロロロ、と自動車みたいな音をたてて走り去った。

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL