このギザギザの鼻先を、最後に、ゼペットになおしてもらいたかったな。
ヤスリをかけてツルツルにして、ひんやりしたニスを塗ってもらうんだ。ああ、この鼻を。
……あれ? ちょっと待てよ、今、僕の鼻先が、なんか少し、動いたぞ。
僕は、かすんだ目で、もう一度鼻先を見た。
伸びてる。確かに、ほんの少し、伸びている。
今の僕は壊れてボロボロで、力がないから、前みたいに勢い良くは伸びないけれど。でも、絶対、今、確かに伸びた。
幻だろうか?
そう思ったとき、じゃり、じゃり、という足音が聞こえてきた。
目の前の霧の向こうに、うっすらと、大きな人影が見えてきた。近づいてくる。どんどん、近づいてくる。
その大きな人影が、霧をかきわけて、僕の真ん前に立った。
アリドーロだった。
背中に、カシの木の板と、大きな袋を抱えていた。
「ピノキオ」

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL