「科学者のフィラメントが描いた設計図をもとにして、自動車をボートに改造してる。オレは不器用だから役に立たないけど、ゼペットがうまく工夫してる。車体の隙間にプラスティックをつめたり、ゴムで帆を作ったりしてさ。オレと違ってゼペットは凄いよ。大工仕事だって、とっても上手いんだ」
さすがゼペット。なにしろ、おじいさんゼペットの500年後の孫だもんね。
アリドーロは、続けた。
「でも、でも、正気じゃないよ、きっとあんなボート、プリンス島に着く前に沈んでしまう」
「どうして沈むのさ」
「湿地帯の向こうの海は、海と言ったって、普通の海じゃないんだ。なんでも溶かす塩酸でできた、毒の黒潮が流れてる」
「ど、毒の黒潮」
「隊長の推理では、毒が薄くなる三日月の夜を選んで渡っても、ボートの材質がもつかどうか、五分五分なんだって」
「三日月の夜、だって?」
僕は、空を見た。
夜になったばかりの空に、薄い雲と、星と、そして三日月が出ていた。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL