「フィラメント。お前を生きて帰せってのが、隊長の命令だ。俺たちは、隊長の命令は、聞くんだ」
キャット少尉が言った。フォックス中尉が、運転席に戻り、ペダルに足をかけた。
「隊長の命令は、上で聞いてました。全速力で、岩の割れ目に突入します」
ボートが、物凄い速さで進み始めた。岸壁が近づいてくる。波で削れたらしい岸壁が柱みたいな形になり、何本も突き立っている。その柱と柱の間に、岩の割れ目があるのがわかった。
「我々はもう、彼らの攻撃圏内に入ってます!」
キャット少尉が言い終わらないうちに、物凄く体の長い龍みたいなロボットが、絶壁の上から何匹も体を伸ばし、ボートに襲い掛かってきた。
よく見ると、何匹もいるのではなくて、一匹の龍の首が、7つか8つに分かれているんだ。それが、見事にもつれもせずに、首をくねらせてボートに向かってきた。
フォックスが全力で漕ぐボートは速かった。龍の首を次々によけて、僕らのボートは前へ進んだ。
ボートの後ろで、眠り電気の火花がいくつも散って、波間に水柱を立てた。
岸壁を、たくさんのロボットたちが這い降りてきているのが見える。
ボートは、柱をかわして、岩の割れ目に突っ込んだ。

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL