「フィラメント。真っ暗なのに、道が見えるの」
「なめるなよ、人形。洞穴の中の地形は、頭に叩き込んでるぜ」
僕らの後ろで、物凄い激突音がした。
空気が震え、地面も震えた。
眠り電気の火花が散る、爆発のような音も聞こえた。
ロボットたちが地面に倒れる地響きも聞こえた。
ロボットたちと、クリケット・ジョーたちが戦っている。
フィラメントは、ますます走った。
暗闇の中、僕は、走るフィラメントに抱きかかえられ続けた。
クリケット・ジョーたちの戦う音が、遠くなってゆく。
食い止めてくれているんだ。僕はそう思った。
ふと僕は、顔に水滴が落ちてきているのに気がついた。天井から落ちてきた水だろうか? いや、違う。この水滴の感じには、覚えがあった。温かい。
随分前、初めてゼペットと出会った日、僕を抱きかかえたゼペットが、「守れなくてごめん」と言いながら、流した涙。あれとそっくりだ。

 
 
  
 
 
 
 
 
 
(C) 2007 西田シャトナー・灯夢/BANDAI VISUAL