暗闇の中、フィラメントは、走りながら泣いているんだ、と気がついた。
やがて、洞穴が、少しずつ、明るくなってきた。
ところどころ、壁の岩が赤く光っていた。
空気の温度も、心なしか暖かく感じられた。
そこからフィラメントは、迷路のようになった洞穴を、右に曲がったり左に曲がったり、上に登って狭い穴をくぐったり、下に降りて暖かい水をくぐったりした。
とても難しい道順を、フィラメントは覚えているのだった。
そして、最後に、少し広くなっている場所まで来ると、フィラメントは地面に座り込んだ。
「フィラメント? 具合が悪いの」
「そうじゃねえ。これから、本番だからな。呼吸を整えてるのさ」
呼吸を整えてるって、どういうことだろう。
風が吹いて、地面においたスケッチブックがぱらぱらとめくれた。服を着た僕の絵が、いくつも、ぱらぱらと見えては過ぎていった。
「おい、ピノキオ。お前、ゼペットにまた、会えると思うか?」







