
SPECIAL TALK
#04 木原浩勝 作家
part 2
初放映当時、新聞のテレビ欄などに掲載されていた『ヤマト』の記事の切り抜きをスクラップブックに保管している木原氏。
前回コメントを求められて、書くことがあまり多すぎ、指定された文字数いっぱいかけて書き切れたことが“宇宙戦艦ヤマト放映前夜”みたいな内容になってしまったまま原稿を出したところ、ありがたいことに、「続きを書いて下さい」という連絡をいただき、喜んで引き受けさせていただきました。
今回は個人的に参ってしまったヤマトの魅力について…。
私にとっての『ヤマト』の魅力は、太陽系を離脱するガミラス冥王星基地壊滅までの中に、全てが集約しております。
宇宙を飛び交う飛行物体を、従来のロケット的デザインにまとめなかったこと。宇宙空間で対艦隊戦を繰り広げたこと。既に地球が赤く干上がり人類が地下に生存を求め、なおかつ絶滅まで一年ほどのリミットしかないという状況。希望の星イスカンダルまで往復29万6千光年もの距離の提示。それを可能にするための超光速波動エンジンの設定。そのエンジンによるワープ航法という概念。その説明に登場するタキオン粒子という科学的用語…。
さらに、かつて海底だった場所に姿をさらす旧時代のスクラップと化した戦艦ヤマト。 そして、その殻を脱ぐかのようにして最新宇宙戦艦として姿を現す宇宙戦艦ヤマトの雄姿…。
わずか1、2話の間で、全くこれまでテレビアニメーションを始めビジュアル的に登場したことのないものを見せつけられたショックは、そのまま作品の魅力と化しました。今現在を振り返っても、これほどの情報量を盛り込んだ作品の1、2話は皆無と言っていいでしょう。何もかも、全てが新しい魅力とこれまでにない作品内容の緊張感でした。
その魅力は何もヤマトを始めとする設定だけではなく、敵のガミラス側にも十分満ち溢れていました。
地球を滅亡までに追いやる遊星爆弾。冥王星の氷の下に隠され、発射時の熱量で海を溶かして光線を放つ反射衛星砲。また、発射したエネルギーに死角がないようにその軸線を変える反射衛星。これらもまた、見せ方のビジュアルとして当時のアニメーションのアイデアをはるかに先行し、画期的なその印象から観る者に多くのショックとストーリー上の緊張を与え、作品の魅力を大きく膨らませてくれました。
これらの設定だけでなく、後に『機動戦士ガンダム』で不動の人気を得た安彦良和氏の描く絵コンテが魅せる画面作りが、更なる魅力を高める結果に結びついています。
後年、結果的に出版には至りませんでしたが、「別冊宝島・僕たちの大好きな宇宙戦艦ヤマト」という企画がありました。(現在もこの復活を切に望んでおりますが) この仕事の中で私は安彦良和氏に絵コンテのみに特化したインタビューを試みています。
同時にそれは、当時のヤマトの制作状況を知る上での貴重な内容であったことはもちろんですが、意図的にこれまでにない画面作りを要求されていたということが明確になった点で、私個人の中で更なる魅力溢れる作品へと進化しました。
『宇宙戦艦ヤマト』は、紛れもなく、意図的に魅力溢れるものを魅力あるように計算しつくされてこの世に登場した作品だったのです。
それが、どれほど先行した素晴らしいものであったかは、今あらためてDVD-BOX全話を見ていただければ、今も色あせることのない魅力によって十分伝わるのではないかと思っています。
ファンの一人として、思い出に浸るという見方として作品に接することなく、今も驚異的に感じることができて幸せを噛み締めています。
PROFILE

木原浩勝
1960年生まれ。作家・怪異蒐集家。近著では『隣之怪〜蔵の中〜』(メディアファクトリー)、『真耳袋(仮)』(角川書店)を刊行予定。この他、携帯コンテンツのプロデューサーを務めたサイトとして、「新耳袋」や『機動戦士ガンダムSEED』ファンクラブ「SEED Club mobile」などがある。「SEED Club mobile」は携帯コンテンツの有料課金公式サイトとして一日あたり760万ヒットの記録を樹立し、現在もその記録は破られていない。また、これから開局予定の「いつデブ・Diet」、『コードギアス〜反逆のルルーシュ〜』ファンサイト「ギアス☆Net」にも関わる。
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